2016年4月1日金曜日

「信長の野望・創造 戦国立志伝」 プレイ感想 -今後のアップデートへの期待・要望-

信長の野望シリーズの最新作、戦国立志伝が出た。発売日に購入して約一週間たったので、プレイの感想と今後されるであろうアップデートへの期待・要望を書いてみたいと思う。

■ 城主以降だと与えられない「領地」

戦国立志伝の最大の特徴は、武将プレイが可能なことで、武将 → 城代 → 城主 → 軍団長 → 大名 と徐々に出世していく。武将から始めると、城持ちではない代わりに「領地」が与えられ、そこで今作のウリでもある箱庭内政ができる。武将から出世していけば城持ちになっても領地は引き続き支配できる。つまり、城と領地、ふたつの収入・兵力が得られるのだ(そのため、支城の城主なのに本城よりも多い兵力を動員できるという倒錯もおきる)。

自分の領地では箱庭内政が楽しめる。ここからの収入・兵力はバカにならない!
しかしながら、いきなり城主の身分からスタートした場合、この領地が与えられないのだ。武将から徐々に出世するのを楽しんでほしい、という配慮なのかもしれないが、城主にも領地を与えてほしいところだ。大名にも、直轄地はあるのだからそれはそれで史実に即しているはずだ。

■ 外交への進言

今作では、身分によってできることに制限がある。城代では自分の判断で出陣はできないし、城主では敵城を攻め落としてもそれを自分のものにすることはできない。軍団長まで出世すれば敵国の城は「切り取り次第」となるのだが、その軍団長となっても外交は相変わらず大名の専権事項なのだ。

それはそれでいいと思うのだが、せめて外交に口を出す権利がほしい。

伊達家でプレイ。関東侵攻を前にして同盟国なし!
せめて北条とやりあう前に、その背後にいる武田家と同盟を結ばせてくれ!
今回は勲功に応じて「発言力」がたまり、大名に人員の増強や加増の申し出をする機能「提案」があるので、ここに外交政策への提言もできるようにしてほしい。というのも、AIの大名はほとんどまともな外交をしてくれない。おかげで、四方を敵に囲まれて効率的に攻略できないのだ。せめて一方と同盟して一方を攻める、くらいのことはしたい。「○○家と同盟を結ぶ」あるいは「○○家と断絶する」といった提案をさせてほしいところ。

■ 「派閥」機能の実装

本作最大のウリである「武将モード」なのだが、なにか足りない! と思っていたところ、気づいたのが家中での政治工作である。

ゲーム中では大名の命令を聞いて少しずつ勲功をためていけばほぼ一直線で出世できるてしまうのだが、ちょっと待て。本物の出世競争とは、そんなものではないはずだ。一応、大名から与えられた任務を他の武将が先に達成してしまったりといった競争はあるのだが、今のところ今作の「武将モード」は、前作「創造」から大名の権限を削り取った「ミニ大名モード」でしかないと思う。

今回、城主以上の身分になると勢力内勢力とも言うべき「家」という単位ができる。例えば伊達家の中に「亘理重宗家」があり「伊達成実家」があったり(※)、という具合に。せっかくこういった単位があるのだから、これを家中の派閥としてはどうか。
※仙台郷土史の文脈では亘理元宗・重宗の家系は「涌谷伊達家」、成実の家系は「亘理伊達家」と呼ぶのが正確。ゲーム内では「フルネーム+家」という呼称を用いる。
先述のとおり「発言力」という概念もあるので、自分の派閥が大きくなればなるほど、発言力も大きくなるというのはどうだろうか。

「発言力」を消費して大名に提案ができる。
次期当主の政宗を配下にくれ! といったムチャな提案も。
片倉小十郎が政宗を配下にしたり、直江兼次が上杉景勝
を配下にする、といったことも実現可能(笑
もちろん、自分の派閥を大きくするためには政治工作のコマンドで労力やら金やらを消費する。つまり、戦にはろくに出兵しないのに政治工作ばかりしているために発言力が大きい武将もいる。逆に、戦場では武功を立て続けているのにもかかわらず、政治工作をしていないばかりに本国の官僚派から軽く扱われている武将もいる。豊臣政権における武断派と文治派の対立の再現である! こういうプレイができたらリアルで面白いと思うのは、自分だけだろうか?

大名は大名で自分に従ってくれる武将の派閥を育てることで、できるだけ親政に近いかたちをとらなければプレイの支障となるし、逆に大名派よりも大きい派閥を有することで、大名を事実上の傀儡とするのもアリ。

先ほど触れた外交への提言とからめても面白いかもしれない。伊達家の場合、東北を制覇してから関東以西へ進出しようとするとだいたい北条家と上杉家のどちらかが壁になるパターンになりがちなのだが、「北条と同盟、上杉領へ侵攻派」と「上杉と同盟、北条領へ侵攻派」の対立のようなものがあってもいいと思う。

大名に息子や血縁者が二人以上いる場合、誰を跡継ぎとするか、といった要素も派閥の機能と絡められると思う。

■ 準備できるまでひたすら待ちゲー、諸悪の根源は「練度」

信長の野望シリーズは基本的にどれもそうなのだけど、敵の領土に攻め入るための準備(内政)と実際の軍事行動(外征)の繰り返しである。今作「戦国立志伝」では、敵の城に攻め入るまでの準備の期間がとにかく長くなってしまうのがつらい。体感的には、「創造」のころと比べて2、3倍程の待ち時間が生じてしまっており、ゲームがリズム良く進まない。

その原因は、間違いなく「練度」というパラメータにあると思う。前作では
兵力の回復を待つ → 攻め込む
のパターンだったのが、今回
兵力の回復を待つ → 練度の上昇を待つ → 攻め込む
という、さらにもう一段階の待ち時間が生じることになってしまっている。この練度というパラメータは、上昇することにより組める陣形・戦法が増えたりとプラス面もあるのだが、それ以上に基礎値の40を下回ると、部隊が弱くなる(被害を受けやすくなる)といった側面が大きい。練度が低いまま戦場に部隊を送ると、ボコボコにダメージを受けまくってまともな戦いにならない。

ゲームにおける「練度」は「新兵が加入すると下がる」という表現で説明されているのだが、実際には兵力が回復すると下がる。兵力の回復 = 新兵の加入 = 部隊練度の低下、ということらしい。

逆に、兵力を最大値まで回復させたうえで(これ以上新兵が加入しない状態で)待っていれば練度は自然に回復するのだが、これが実に厄介だ。兵力の最大値というのは、城下町の開発や人口の増加により、常に少しずつ増え続けているのが普通だろう。つまり、もう少し正確に書くと
兵力の回復を待つ(その間練度は下がり続ける) → 兵力が最大値まで回復する
→ 兵力の最大値が上昇する → 兵力が回復する(また練度が下がる)
→ 兵力が最大値まで回復する → やっと練度が安定して上がりだす
→ 兵力の最大値が上がると、また練度が下がる...のエンドレスリピート
なのだ。練度が上がるのを待っている間に兵力の最大値を揚げるような城下町開発をすると、練度の回復は余計に遅くなってしまうというスパイラルに陥ってしまう。

なぜか北条家に所属している、小高城所属の政宗の部隊。現在、練度はたったの12。これで戦場に出すと、
優秀なパラメータの政宗の舞台なのが信じられないくらいのダメージを受けてボッコボコになってしまう。
一か月で練度が18回復することになっているが、その間に兵力の上限値も少しずつ上がるため、
練度低下 → 回復 → 低下 → 回復、を繰り返して実際には10しか上昇しなかった。練兵って大変!!

以上、プレイしたことない人にとってはイメージしにくいかと思うが、要は部隊が出撃可能な状態になるまで待たなくてはいけない時間が長い! ということなのだ。しかも、あっちの部隊は準備万端なのに、こっちの部隊は練度ゼロ、という状況も割とよく起こるため、創造シリーズのウリである、多数の部隊による複数経路からの連携侵攻というものがやりにくくなってしまった。大規模な侵攻をしようとすれば、とにかく全部隊の兵力、練度が回復するまで待つしかない。

実際の戦国時代では、敵はこちらの準備を待ってくれないし、むしろこちらの隙をついてくるのが戦というものである。兵の練度が低いまま部隊を戦場にに投入せざるを得ないような状況もあっただろうから、これはこれでリアルっちゃあリアルなのだが、ゲームとしてはどうもテンポが悪いのは否めない。

せめて、金やら労力を消費することによって練度の回復率にブーストをかける「演習」といったコマンドを設けてはどうか。あるいは、武将の能力値(統率、武勇)を部隊の練度上昇率にリンクさせる、とか。

ある程度出世して、城をいくつも所有している状況になれば、とっかえひっかえ部隊を前線に送り込めるようにはなるのだが、それまでの待ち時間、というかゲームの停滞感が正直辛い。

■ 初期配置、身分の編集

これについては好評だった「『信長の野望・創造』における東北地方にツッコミをいれる」の続編として、別の記事を書こうかと思っているのだが、今作では史実武将がシナリオの初めに所属している城や身分がかなりめちゃくちゃだったりする。なんでこの時代にコイツがこの城にいて、しかも城主なんだよ! といった風な。

とはいえ、2000人以上の武将が登場するゲームなので、そこまで正確に再現するのはさすがのコーエーも不可能だったみたいだが、せめてこれを人力で編集できるようにしてほしい。


...といった感じで、1週間プレイしてみた感想と改善案をいくつか書いてみた。今作はパワーアップキットが発売されず、すべてアップデートで対応されるとのことですでに今後のアップデート予定も組まれている様だ。

全体的な印象としては「思っていたほど前作から変わっていない」というのが自分の正直なところなのだが、今後のアップデート次第で化ける余地はあるゲームだと思う。というわけで、期待を大にして待ってます、コーエーさんっ !!

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